【税制改正後】「配当収入のみFIRE民」の令和5年分確定申告の実際

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こんにちは、2020年50歳で早期退職し自由人になった「ゆるっとFIRE50」です。

FIRE民にとって令和5年分の確定申告の“目玉”は、税制改正によって「配当所得について所得税と住民税の課税方式を一致させなければならない」というルールになったことですね。

皆さんはどのように申告されたでしょうか?

基本的に株の配当金しか収入がない私のようなケースで、何を考慮して実際にどのような申告を行ったか皆さん興味があると思いますので共有させていただきます。

令和5年分からは「ともに総合課税」or「ともに申告不要」の選択に

私のような高配当株中心のFIRE民の場合、令和4年分確定申告まで配当所得を「所得税は総合課税」で申告して配当控除を受けると同時に、「住民税は申告不要」にすることで配当に掛かる住民税を源泉徴収されている5%に戻す方法がベストでした。

もちろん住民税が低く抑えられるということは国民健康保険(国保)保険料も抑えることにも繋がります。

しかし税制改正により令和5年分の確定申告からは「配当所得については所得税と住民税の課税方式を一致させなければならない」というルールに変更されたため、所得税と住民税を「ともに総合課税」にするか、「ともに申告不要」にするか2択になります。(「ともに分離課税」はあまりメリットがないので)

【令和5年分】住民税の申告不要制度が変わる!所得税と異なる課税方式の選択が廃止 | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee
令和4年度税制改正で、上場株式等の配当所得等について所得税と住民税の課税方式を一致させる改正が行われました。

昨年の試算では「ともに総合課税」が3万円安かった

「ともに総合課税」と「ともに申告不要」にはそれぞれメリット・デメリットがあり、影響を検討するにしても世帯全体の所得税、住民税、健康保険料(国保)を見なければなりません。

また、実際の配当収入の額、配偶者の収入、控除できるものの金額などによって変わります。

昨年、令和4年分の収入等の条件で「ともに総合課税」と「ともに申告不要」のどちらが負担が軽いかシミュレーションしてみましたが、「ともに総合課税」が3万円安いという結果でした。

今回の検証のプロセスをざっと紹介すると・・・

前提条件は以下のとおりです。(収入は税引き前の額面、控除は実際に控除される額)

私の収入:配当329万円(うち国内株分180万円)(なお損出し等による株式譲渡損もありますが同一証券会社内で損益通算されて源泉徴収分から26万円が還付済み)

妻の収入:パートによる給与118万円、配当4万円(国内株)

所得控除:社会保険料控除45万円(二人分の国保、年金)、小規模企業共済等掛金控除60万円(iDeCo)、生命保険料控除5万円、医療費控除18万円、寄付金控除15万円 など(基礎控除や配偶者控除以外)

比較をシンプルにするために、一旦妻の確定申告は若干の配当控除を受けるために「ともに総合課税」(給与収入に若干の配当収入が加わる)に固定したうえで、私の申告方法の違いによってどのくらいの差があるのかを検討しました。

シミュレーションには「所得税:国税庁 確定申告書等作成コーナー」「住民税:住民税の自動計算サイトや自身の自治体の住民税シミュレーションページ」「国保保険料:国民健康保険料シミュレーションサイトや自身の自治体の保険料計算方法のページ」を参考にしました。

今年は8万円差で「ともに申告不要」に軍配が上がった!

それでは実際に今年はどうだったかというと、結論は「ともに申告不要」の勝ちでした。

「ともに申告不要」の場合

私の収入は配当以外にありませんので、申告不要にすると収入欄、所得欄はゼロになります。

そうなると悲しいことに所得控除はいくらあろうと引かれる元がないので意味がありません。

よって課税所得はゼロなので所得税、住民税ともに追加で支払う金額はゼロとなります。

国保保険料については、私の所得割はゼロ、妻の所得割は約3万円となります。均等割については世帯所得が5割軽減の基準額以下に該当するので二人で約8万円となり、合計で約11万円となります。

「ともに総合課税」の場合

私の配当収入に対して、すべての所得控除を使って課税所得を小さくします。(税率も5%に)

計算上出てきた所得税は配当控除(国内株分の10%)18万円で打ち消すことができるので、最終的に証券会社で源泉徴収されていた(譲渡損との損益通算後の)所得税28万円が全額還付されます。

住民税もこの条件で試算すると、課税所得の10%分から配当控除(国内株分の2.8%)や寄付金控除を差し引き、既に証券会社で源泉徴収されていた住民税との差額から約5万円還付されます。

国保保険料では住民税基礎控除43万円しか所得控除されないので、私の所得割が約34万円、妻の所得割が3万円となります。さらに均等割については軽減制度の基準には入らないので二人で約15万円となり、合計で約52万円となります。

二つのケースを簡単に表にすると・・・(マイナスは還付の意味)

ともに申告不要ともに総合課税
所得税(追加納付分)0円-28万円
住民税(追加納付分)0円-5万円
国保保険料(世帯)11万円52万円
合計11万円19万円

予想はしていたものの、やはり私のように配当収入以外の収入がほぼないケースにおいては国保保険料が全体に与える影響は大きいですね!(均等割の5割軽減がなかったらほぼ両者に差がない)

余談ですが・・・妻の配当収入を総合課税で申告すると世帯収入が上がって国保保険料が若干上がってしまいますが、試算上は配当控除を受けたほうが申告不要よりもトータルで約3千円安くなったのでこちらを選びました。

念のため「ともに申告不要」でも確定申告しました

私は「ともに申告不要」なので本来なら妻の配当控除を受けるために妻の分だけ確定申告すればよいのですが、念のため私の分(還付も追加納税も無しの内容)も確定申告しました。

収入ゼロなので全く意味はありませんが社会保険料控除など一応記入(添付)しました。

なぜわざわざ確定申告したかというと、税務署を経由して自治体に私の収入を知らせるためです。

ネットに「収入の情報がないと自治体は国保保険料や住民税を決定する目安がないので(保険料や住民税を高く設定される可能性があるので)無職でも確定申告をしたほうがよい」と書かれていたので参考にしました。

無職でも確定申告が必要?申告するメリット・デメリットを解説します!|みんなでつくる!暮らしのマネーメディア みんなのマネ活
自営業の方が行うと思われがちな確定申告。しかし、無職でも確定申告をしなければならない場合や行うことで得することもあります。この記事では、無職の方の確定申告が必要なケースや、申告するメリットついて解説します。

(自治体に直接申告してもよいのですが妻の確定申告と一緒に済ませたほうが楽かなと)

最後に・・・

昨年までの「所得税は総合課税+住民税は申告不要」という“良いとこ取り”方式より税金や健康保険料が28万円程度アップすることになりますが、今までがラッキーだったと思うしかないですね。

来年以降今回の結論が逆転する可能性があるか考えてみると、「同一証券会社内での譲渡損との損益通算が大きくない場合または無い場合」ですね。(総合課税で取り返せるのは最終的な源泉徴収分なので)

まあ今考えてもしょうがないので来年すべてが確定した時点でシミュレーションして決定したいと思います。(笑)

ではまた!

※注:今回の比較はあくまでも試算であり最終的な決定額ではない点はご了承ください

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